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King in the Wilderness




キング牧師の暗殺から50年。


さっきHBOで”King in the Wilderness”というドキュメンタリーを見た。その映画の事は全然知らなかったのだが、たまたま好きな日曜夜の30分番組を見なかったので再放送見てたら、ちょうどその後に始まったの!

観てよかった。全然知らない事が沢山。

キング牧師の生涯を描いた伝記の本や映画も色々あるし、
おそらく一番有名なのはワシントンDCでの大きなマーチと”I have a dream...."のスピーチだろう。
(去年行ったエベネザー・バプテスト教会でもそのスピーチを別の人がそっくりに見事に再現して聞かせてくれていた。)1月のブログに写真少し載せたの、見てない方はどうぞ^^)

殆どの人が、その「ワシントン大行進」と有名なスピーチのキングまでしか知らないと(1963年8月。)


私も知らなかった。


このドキュメンタリーは、それ以後の話。


彼は公民権運動を南部だけでなく北にも広げる。これには反対の仲間もいたそうだ。「まだ南部で成功していないのに」と。 だが彼が立ち向かったのは人種差別だけでなく、貧困と軍国主義。北の黒人が南部よりは人権を認められていたとしても、貧困は酷いものだった。

ずっと「南部は遅れてて」人種差別も酷く、黒人は選挙投票もできなかったので、その為に公民権運動をやってたと思ってたが、確かに事実そうなんだけど(北からシンパの白人学生も参加したりとか。色々な映画でお馴染みだよね)、
運動への反対は南部の比じゃなかった。
「南部でデモ行進すると200人ほどの白人至上主義者が向かってくるが、シカゴでは町中が・・・」と言ってた人がいた。
プラカードに書いてる事も、今のトランプ支持者と全く同じ。
しかもびっくりなのは、あの頃から既にナチのマークを掲げている人達も多かったこと。大戦が終わってまだ20年の頃に!

ニューヨークでは平和を訴えるスピーチ(彼はずっとベトナム戦争に反対していた)、そのスピーチは白人のリベラル聴衆に喝采を受けたが、翌朝の新聞では全国で叩かれた。国がやってる戦争を批判したのだから、「国の敵」というわけ。
運動の為の寄付金も途絶えて、精神的にもかなり辛かったようだ。

そして本当に疲れていた。

なにせ当然右翼からは嫌われていたが、左翼にも彼は充分でない。
”Black Power"などというムーブメントには反対で、
あくまでも無抵抗主義。平和的に・・・・ と、これには賛同できないラジカルなリーダーたちも抑えないとならない。

とにかく、当時の彼は徹底的に嫌われていたと(こういう事は子供達相手には教えないよね。)

ストレスの為にチックの症状まであったそうだ。
それがある日、すっと急にその症状がなくなった。
それは、死にたいして妥協した(死を受け入れた)からだと、アンドリュー・ヤングが言っていた。


最後はごみ回収に従事する人たちの賃金や待遇の改善を訴えるストライキを支援する為に乗り込んだテネシー州メンフィスで殺される(いつも滞在していたモーテルで。)
4日の中部時間6時1分PMに襲撃され、病院に運ばれて死亡したのが7時5分。


彼の死後、全国各地で暴動が起こった。

人々が平和主義を説いたキング牧師の意思を尊重できなかったのは悲しい。











タイトルにある”Wilderness”は大自然の事ではなく、「荒野(あらの)という意味。

辛い、厳しい状況にいるキング。

イスラエルの民を率いて「約束の地」に旅したモーセに例えているのか。
神の命令によってエジプトから民を連れ出し、40年間も荒野をさまよったのに、モーセは約束の地に入る事はできずに死んだのだ。(映画の初めの方で誰かがモーセの名前を出していたと思う)。

(追記、4日夜: さっきニュース見てたら、なんとキング牧師は、メンフィスでの、殺された日の前夜のスピーチで自分からその話をしていた!)
(これも追記:50周年と言うのにトランプ関係のニュースがあまりにも多すぎて、テレビのニュースもたいして時間を割けなかったようだ。でもメンフィスでは大きな集会が開かれ、キング牧師の39年の生涯を記念して鐘が39回鳴らされたとか。)




(インタビューの中にハリー・ベラフォンテも結構良く出ました。
ニューヨークでは彼の家に泊まっていたみたい。
スピーチを書いているキング牧師が下書きを捨てるとベラフォンテは急いでそれを拾ってシワを伸ばし、大事に取っておいたようです。今は彼の住まいに額に入れて飾ってあるとか。)



アンドリュー・ヤングやジェシー・ジャクソン、ジョン・ルイス、その他の側近や色々な人達のインタビューと当時の画像。知らなかったシーンや逸話も沢山あった。

今のアメリカを見て、キングと一緒に闘って来た人達はどんな気持ちだろう。

オバマが大統領になった時、今までの努力が報われた!と涙流して喜んだ人達は ・・・・・・





50年。







by lifeisok | 2018-04-04 14:02 | what's new (or old) | Comments(12)  

Commented by agnes at 2018-04-04 16:23 x
キング牧師については私もマーチとスピーチしか知りませんでした。良い番組だったようですね。ベラフォンテのエピソードも興味深いですね。
暗殺からもう50年なんですか。まだまだ状況は進んでいないというか、行ったり来たりというか・・・。人々の心の奥に根付いている差別というものが完全に溶解するのはいつのことでしょう。宇宙人が侵略してきたら、差別も何もなく団結して戦うでしょうか。それともトランプ支持者たちは非白人や移民を犠牲として宇宙人に差し出して交渉するのでしょうか。今の共和党だったら後者のような気がする・・・。
Commented by Penta at 2018-04-04 18:31 x
Googleのトップ・ページの絵はキング牧師の夫人でしょうね。
最近、フレッド・コレマツという日系人もトップの絵に出ていましたね。1月30日の誕生日だったかも知れません。

今日、イギリスのBBCのニュース番組でアメリカで白人と黒人が不動産屋で部屋を借りる場合、どのような対応になるのかという覆面レポートの報告をしているのを見たんですが、空室でも黒人には部屋はないという対応でした。


Commented by Jun at 2018-04-04 22:22 x
agnesさん> 日曜夜遅くのJohn Oliverを見なかったので昨夜再放送を見たら(そっちもすごく良いトピックだったんですが)、たまたまその後に始まったの。
「いつもと同じ」キング牧師の話かと思ったら全然違いました。偶然見てて良かったです。 
ジョーン・バエズもインタビューに出てましたが、ベラフォンテがそんなに個人的に親しい友人だったとは知らなかったです(葬儀の時コレッタ夫人の隣にいたのも昨夜初めて気がつきました。)
50年前のビデオ見て、レイシストたちの掲げるプラカードが今と全く同じなのに驚き呆れました。哀しいね。

レーガンの時は火星人が攻めてきたら冷戦時のアメリカとソ連も一緒になって戦うとかアホな事言ったそうだけど、今の共和党やトランプとその支持者たちは確かに、非白人や移民だけでなくリベラルの白人(国民)を喜んで差し出すでしょうね。彼らが誰よりも一番嫌ってるのはリベラルだそうですから。
Commented by Jun at 2018-04-04 22:47 x
Pentaさん> 昨夜これを書いているうちに12時が過ぎて「今日」になったんですが、Googleの絵がキング牧師でないのがちょっと意外でした。私も一瞬コレッタ夫人かなと思ったんだけど、詩人マヤ・アンジェロウのバースデーだそうです(生きていれば90歳。4年前に亡くなっています。)
自分のバースデーにキング牧師が暗殺されたなんて!
彼女は詩人で作家というだけでなく公民権活動家でもあったので、日付の偶然は余計に残念だったかも。

今彼女のバースデーを確かめる為にウィキ開けたら、彼女は2008年にはオバマでなくクリントンを応援してたと知ってこれもびっくりでした(予備選挙の後はもちろんオバマを応援しましたが。)
それで、オバマの就任式に彼女が詩を読んだような記憶があったんですが、ビル・クリントンの就任式、もう25年も前の事でした。これにもびっくり(苦笑)

初の黒人大統領の誕生、再選までも見る事が出来て、でも’14年に亡くなったのならトランプのアメリカを見ないですんだ。ラッキーだったと言えるかも、です。

アメリカで黒人が住むようになると不動産の値が下がるので、黒人が家を買おうとするのを阻止する人達もいます。新しく家を買って越してきた人達に嫌がらせしたりとか。
皆が仲良く暮らせるような世の中は、あと何十年待ったら来るのでしょうね・・・・・
Commented by Penta at 2018-04-05 22:51 x
この人、僕も全然知りません。
Junさん自身も、新発見ばかりですね。

いろんな才能の持ち主なんですね。
7歳でRapeとは、今ならMeTooで発信しているかも、、、

僕の日記の「ブルー・ムーン」に4月2日Junさんがサラ・ヴォーンの名前を入れてくれていましたが、4月3日が命日だったようです。
Commented by Jun at 2018-04-06 01:06 x
Pentaさんもご存知なかったんですね。
以前に教えていただいたGoogleDoodleのMap見たらわりと全世界で広くこの動画が載っていたみたいですが(台湾は「子供の日」、あと、ニュージーランドでもあったのにオーストラリアだけがなかったのが面白いなと思ったらイギリス連邦のスポーツ大会の初日だったようで。オーストラリアで開催なんですね。)
アメリカ人でも、名前は良く知っててもあまり彼女の作品は読んでないかも(トランプなら名前も知らなかったかもですね^^;)

サラ・ヴォーンが亡くなった日の1日前に彼女の名前書いてましたか、ちょっと惜しかったな(笑)
Commented by Eiko at 2018-04-15 09:15 x
Instagramを観ていたら、レッドホットチリペッパーのチャドが記念館のような場所を訪れていました。

動画の最後でキング牧師のことだったんだなとわかりましたが、彼がそこを訪れていたことに驚きましたが、嬉しかったです。
たくさんコメントも投稿されていました。
そこにはやはり、同じ気持ちだよ!ブラザー!と共感される言葉がありました。
それも嬉しかったです。

中学か高校の英語の教科書でキング牧師のお話が題材になってたので、そこで私は知ったのですが、その英語の先生が苦手で(笑)
でも、キング牧師のこととI have a dream. とWe shall overcome. という言葉は覚えていました^_^
せっかく英語の題材になっていたのだから、その頃のアメリカのことや、影響を受けたシンガーたちのことや、歌も一緒に教えて欲しかったな、と思います。
もしそうだったら、もっとまともに勉強してたかも...
いや、やっぱりあまのじゃくな私はそっぽ向いてたかな??(≧∇≦)

Commented by Jun at 2018-04-16 09:26 x
Eikoさん> チャドはちょうど50年の記念で訪れたのかな?
アトランタのキングセンターの事でしょうか。

その、”I have a dream”はもちろん有名なんだけど、その後のキング牧師の事は知らない人の方が多いのでは。
”that legendary speech is when most people stop learning about the leader”とニューズウィークにも書いてありました。(私も全然知らなかった)。

子供の頃はジョーン・バエズの歌でWe shall overcomeとかクンバヤとか良く聴いて、自分でも歌ってました。
ほんと、英語のクラスで背景の時代や当時の歌も教えてくれたら興味も持てるよね!
Commented by Eiko at 2018-04-16 20:46 x
きっとキングセンターです
I AM A MANと書かれたプラカードを持ったマネキンが館内にあるところです。

私は、その後は全く知らずでした。

とても強いリーダーが精神的にまいっていた!!

キング牧師のやっていることは正しいはずなのに(>_<)









Commented by Jun at 2018-04-16 23:03 x
ああ~~ じゃあきっとメンフィスです!
アトランタにもCivil Rights Museumがあるのでそこにも”I AM A MAN”があるかもしれませんが(きっとあると思いますが)、キング牧師が暗殺されたメンフィスで大きな50周年追悼集会があったそうなので。今検索して初めて知ったけど、メンフィスのCivil Rights Museumは彼が暗殺されたモーテルの建物を囲んでできているそうです。リンクしておくね(私の名前の所)
Commented by Jun at 2018-04-16 23:05 x
"I AM A MAN"は、そのストライキの時に人々が掲げていたプラカードです(これの支援に行ってて殺された)。
賃金も安かったし、人間の扱いを受けてなかったんだよね。

(チャドの写真に載ってたのはこの場所だったかな?)
Commented by Jun at 2018-04-16 23:08 x
URLを二つ一緒に載せたかったんだけど、「禁止ワード」でコメントが受け付けてもらえなかったので名前の所にリンクしたんでした。
しかしウィキの方は大丈夫だったのかな?テストの為にやってみます(もしこっちがOKだったら、最初にリンクした方と同じサイトです。二つ目がダメだったのは確かなので。)
https://en.wikipedia.org/wiki/National_Civil_Rights_Museum

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